事務所通信6月24日号(Vol.1071)でAIの近未来について取り上げましたが、今号では中小企業におけるAI活用の現在地をご紹介いたします。
| AI活用に取り取り組んだ
30.3% |
成長に向けたAI活用に取り組んだ企業の付加価値額変化率(中央値)
23.0% |
取り組んでいない企業の付加価値額変化率(中央値)
17.9% |
◆白書のポイント
2026年版白書は、AI活用を「人手不足への対応」だけでなく、既存スタッフの能力を補完し、労働生産性・付加価値を高める手段として位置付けています。2019年以降の省力化投資では、30.3%の中小企業がAI活用に取り組みました。さらに、成長に向けたAI活用に取り組んだ企業は、2019~2024年の付加価値額変化率(中央値)が23.0%で、未実施企業の17.9%を上回りました。ただし、白書は、この差だけからAIが原因だと特定せず、「増加に繋がる可能性」が示唆されたとしています。
◆どこでAIが使われているか(複数回答)
| バックオフィス | 73.4% | 経理・総務・人事など |
| 営業・販売・顧客対応 | 68.2% | 提案・顧客対応・情報整理など |
| 製造・生産管理・物流 | 57.2% | 生産・物流等の業務支援 |
◆何故AIを使わないのか(複数回答)
| 63.4% | 活用する業務イメージができていない |
| 40.0% | 活用を推進する人材が不足 |
| 26.2% | 社内ルール・ガイドラインが未整備 |
| 14.5% | セキュリティ・情報漏洩への不安 |
| 13.8% | 必要な予算を確保できない |
◆白書から読み取れる「中小企業のAI活用」の方向性
①まず業務を具体化:「AIを導入する」ではなく、どの業務の時間・品質・属人化を改善するかを決める。
②人を置き換えるより能力を補完:調査・要約・翻訳・文章作成・情報整理などからスタッフの仕事の質とスピードを高める。
③部門横断で使う:ITツールでは、部門間連携やスタッフ研修・勉強会を行う企業ほど、想定以上の効果に繋がる傾向が示されています。
④小さく始めて広げる:白書の事例では、生成AIによる広告・技術文書作成や、自社独自システム開発など、限られた経営資源を補う活用が紹介されています。
「AIを導入したら何ができるか?」より、「今、スタッフが時間を取られている仕事は何か?」「AIに補助させて空いた時間で何を生み出せるか?」から考える。AI活用をコスト削減だけで終わらせず、売上・付加価値・人材育成に繋げることがポイントとなります。
税理士 久保 康高



