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全東信の破綻から考える「会社を守る資金防衛策」

2026年7月6日、クレジットカード決済代行会社である株式会社全東信が破産手続開始決定を受け、飲食店を中心とした多くの加盟店で売上金(少なくとも直近5日間分、約2万社に対して約53億円)の回収に影響が生じています。今回の出来事は、「取引先は大企業だから安心」「決済代行会社だから安全」という考えが必ずしも通用しないことを改めて示しました。中小企業にとって最も重要なのは、利益ではなく資金繰りです。どれだけ売上が順調でも、売掛金や決済代行会社に滞留している資金が回収できなくなれば、仕入代金や給与、家賃などの支払いに支障をきたすおそれがあります。

税務上の救済措置もあります。取引先が破産手続開始決定を受けた場合などには、法人税法上、一定の要件を満たすことで、その取引先に対する金銭債権について50%相当額を貸倒引当金として損金算入できる制度があります。これは、回収不能となる可能性が高まった債権について、税務上早い段階で損失を認識できるようにする制度です。

もっとも、税金が軽減されても現金が戻ってくるわけではありません。会社を守るためには、日頃から資金繰り対策を講じておくことが何より重要です。そこで今号では、今からできる資金防衛策について改めてご紹介いたします。

1 経営セーフティ共済(倒産防止共済)を活用する
取引先が倒産した場合には、掛金総額の10倍(最高8,000万円)まで無担保・無保証人で借入れができる制度です。万一の資金ショックを和らげる制度として、多くの中小企業に活用されています。

2 小規模企業共済を活用する
小規模企業共済は経営者の退職金制度ですが、契約者貸付制度も利用できます。老後の資金の準備だけでなく、緊急時の資金確保という観点からも有効な制度です。

3 生命保険を活用する
法人契約の生命保険(経営者保険)も有力な資金防衛策の一つです。解約返戻金のある保険であれば、経営者貸付制度を利用して、解約せずに資金を借り入れることができ、取引先の倒産や急な資金需要にも機動的に対応できます。

4 手元資金を厚くする
利益が出ている時こそ、節税だけでなく「現金を残す」ことも重要です。一般的には、固定費の3~6ヶ月分程度の現預金を確保しておくことが望ましいとされています。

5 売上・決済手段を分散する
一社への売上依存や、一つの決済サービスへの依存はリスクを高めます。取引先だけでなく、決済代行会社や金融機関も分散しておくことで、万一の影響を小さくできます。定期的に信用情報を確認する主要取引先については、決算書や信用調査情報などを定期的に確認することも有効です。「長い付き合いだから安心」ではなく、経営環境の変化を踏まえたリスク管理が求められます。

税理士 久保 康高

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