2026年の相続税実務は、大きな転換期を迎えています。
これまで広く行われてきた「評価差を利用した節税」が次々と見直され、税務署による調査も高度化しています。現在の相続税対策では、税額を下げるだけではなく、否認されないことが重要になっています。
特に注目されているのが、不動産を利用した相続税対策の見直しです。
2026年度の税制改正では、貸付用不動産や不動産小口化商品について、時価と相続税評価額の乖離を是正する方向が示されました。特に「相続直前(5年)に取得した貸付不動産」への視線は厳しく、従来型の不動産節税は通用しにくくなっています。
また、いわゆる「タワマン節税」も大きく変化しました。
高層階ほど市場価値が高いにもかかわらず評価額が低いという問題に対し、補正率が導入され、節税効果は大幅に縮小しています。現在は「なぜその不動産を取得したのか」という経済合理性まで見られる時代になっています。
生前贈与についても注意が必要です。
死亡前の贈与を相続財産に加算する期間は、従来の3年から段階的に7年へ延長されています。特に毎年同額を贈与する「形式的な暦年贈与」や、子・孫名義の預金を親が管理している「名義預金」は現在もっとも否認されやすい論点の一つです。
さらに近年は、税務調査そのものも大きく変わっています。
国税庁はAIやデーター分析を活用し、預金移動・不動産・保険・法人情報などを横断分析して、申告漏れリスクの高い案件を抽出しているとされています。実地調査だけでなく、「お尋ね」や電話確認などの簡易接触も増加しており、「説明できないお金の流れ」が最も危険視されています。
そのため現在の相続税対策では、駆け込み贈与や名義分散よりも、遺言作成、納税資金対策、財産管理の明確化、争族防止、といった「実務的で持続可能な対策」へ重点が移っています。
これからの相続税対策は、「税金を減らす」だけでなく「税務署に説明できる状態を作る」ことが最大のポイントです。
相続診断士 平林 明子



