(1)消費税仕入税額控除経過措置の見直し
インボイス制度では、適格請求書(インボイス)がなければ原則として仕入税額控除を受けることはできません。取引先のすべてがインボイス発行事業者になるわけではないので消費税の納税負担が急増する懸念がありました。そこで、インボイスを発行できない免税事業者からの仕入でも一定期間は消費税相当額の一部を控除できる経過措置の導入により税負担の軽減を図っていましたが、今回その控除期間・控除割合が変更されます。
◆現行の控除期間・控除割合:インボイス制度導入当初、令和8年9月までは80%控除、その後令和8年10月からは50%控除、令和11年10月以降は控除なし(0%)でした。
◆改正後の控除期間・控除割合:控除割合の引下げペースが緩和され下記のようになります。
| 期間 | 控除割合 |
| 令和5年10月1日~令和8年9月30日 | 80%控除 |
| 令和8年10月1日~令和10年9月30日 | 70%控除 |
| 令和10年10月1日~令和12年9月30日 | 50%控除 |
| 令和12年10月1日~令和13年9月30日 | 30%控除 |
| 令和13年10月1日~ | 0%控除 |
◆70%控除の概要
免税事業者からの課税仕入れについて、インボイスがなくても消費税相当額の一部を控除できる経過措置が延長され、令和8年10月からは控除割合が70%となります。
◆控除額の計算方法
控除可能額は「免税事業者からの課税仕入れに係る消費税額×控除割合」で計算されます。例えば、免税事業者から110,000円(税込)の仕入を行った場合、消費税相当額10,000円の70%にあたる7,000円が控除可能です。
(2)2割特例の終了と3割特例の導入
2割特例の終了:インボイス制度を機に、免税事業者からインボイス発行事業者になった方について、納付税額を売上に係る消費税額の2割とすることができる「2割特例」が令和8年9月30日に終了します。
3割特例の導入:2割特例の終了後、個人事業者に限り(法人は対象外)、令和9年および令和10年の2年間、納付税額を売上に係る消費税額の3割とすることができる「3割特例」が導入されます。この特例は事前の届出は不要で、確定申告書への付記のみで適用可能です。
◆簡易課税制度との比較
3割特例の終了後は、本則課税か簡易課税のいずれかを選択する必要があります。簡易課税制度は、売上高が5,000万円以下の事業者が対象で、業種に応じた「みなし仕入率」を用いて仕入控除税額を計算します。事業内容によっては、3割特例よりも簡易課税が有利な場合があります。
(伊藤 淳二)



