消費税免税事業者等との取引について、インボイス制度開始から3年間は80%相当額を、4年目から6年目までは50%相当額を課税仕入れに係る消費税額とみなすという経過措置が設けられていますが、80%の適用が令和8年9月末に期限を迎え、その後は50%に移行するタイミングが迫ってきていることから、国税庁はこのほど経過措置の取り扱いについてQ&Aを更新しました。更新内容は大きく2つです。
Q:期限をまたぐ役務の提供があった場合の経過措置の適用について
令和8年9月21日から提供を受けている役務について同年10月20日に完了し、同月31日に代金を支払う場合、経過措置の適用は80%と50%のどちらを用いて計算すればよいか?
A:本経過措置の適用に当たっては、適用しようとする課税仕入れの時期で判断します。
その時期は、原則として、その役務の全部が完了した日になります。したがってご質問のケースにおいては、令和8年10月20日が課税仕入れ等を行った日となることから、仕入れ税額相当額の50%の割合を用いて計算することになります。また、商品の仕入れの場合の時期は、その引き渡しのあった日で判断します。
Q:短期前払費用に係る経過措置の適用について
例えば、3月決算の法人が、取引先との保守契約に基づき、毎年1月にその年1年間分の保守料金を支払った上で、短期前払費用として全額を損金経理している場合、令和8年1月に支払った、同年12月分までの保守料について適用される仕入税額控除の適用割合はどうなるか?
A:消費税の計算については、前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととしていることから、令和8年1月に支払った1年分の保守料のうち、80%の経過措置適用期限後の令和8年10月以降の役務に対応する支出分についても、その全額を仕入れ税額相当額の80%の割合により本経過措置の適用を受けることとして差し支えないとしています。
短期前払費用には、例にある保守料以外にも、リース料や賃料などがあります。広く一般的に利用されている短期前払費用として、事務所や駐車場などの賃料の年払いがありますが、物件の所有者には個人も多く、そういった個人の中にはインボイス登録をしていない人も多く存在するため、賃料の支払い時期による経過措置の影響が少なからず出てくる可能性があることが想定されます。
(齋藤 勝)



