奨学金返還支援制度は、企業が従業員の奨学金返還を一部または全額肩代わりする制度です。2021年に日本学生支援機構(JASSO)が創設し、企業がJASSOへ直接返還する「代理返還」が可能になりました。この制度は、従業員の経済的負担を軽減し、企業の採用力強化や定着率向上に貢献します。
◆制度の概要
奨学金返還支援制度は、企業が従業員の奨学金返還を支援する福利厚生制度です。JASSOの第一種奨学金・第二種奨学金が対象です。※第一種奨学金と第二種奨学金は、どちらも日本学生支援機構(JASSO)が提供する貸与型の奨学金で、返済が必要です。主な違いは、第一種奨学金が無利子であるのに対し、第二種奨学金は有利子である点です。
◆代理返還の仕組み
2021年4月からは、企業が従業員に代わってJASSOへ直接返還金を送金できるようになりました。これにより、従業員は所得税が非課税となり、社会保険料も増えません。
◆導入の背景
大学生の約3人に1人が奨学金を利用しており、平均貸与総額は約313万円です。若手人材の確保や離職防止が課題となる中で、この制度が注目されています。
◆企業側のメリット
・定着率向上:従業員の経済的負担を軽減し、会社への定着率の向上が望めます。求人票に記載して若手人材にアプローチすることも可能です。
・税制優遇:企業等にとっては、代理返還は使用人の奨学金返済に充てるための給付にあたるので、給与として損金算入されます。また、「賃上げ促進税制」の対象となる給与等にも該当することから、一定の要件を満たす場合には、法人税の税額控除の適用があります。
奨学金返還支援(代理返還)による返還金は、原則として、社会保険料標準報酬月額算定のもととなる報酬に含まれず、社会保険料の賦課対象となりません。
◆従業員側のメリット
・経済的負担の軽減:奨学金の返還負担が軽減されます。
・所得税・住民税・社会保険料の非課税:代理返還の場合、返還額は給与と別扱いのため、所得税・住民税が非課税となり、社会保険料も増えません。
◆導入時の注意点
・対象外従業員との不公平感:制度の対象とならない従業員との間で不公平感が生じる可能性があります。
・役員への支援:役員への返済支援は損金算入の対象外。
・返還状況の確認:企業が代理返還しているか従業員自身も毎月確認することが重要です。
◆導入企業数
2025年6月時点で3,721社がこの制度を導入しており、右肩上がりで増加しています。
(伊藤 淳二)



