――中小企業にこそ必要なスタッフ機能の視点――
会社の組織は大きく分けて「ライン」と「スタッフ」でできています。
営業や製造、購買といった“本業を動かす”のがライン組織。経理や労務、総務といった“本業を支える”のがスタッフ組織です。
多くの中小企業では、このスタッフ組織が十分に整っていません。社長がすべてを見て判断し、経理や労務の業務も兼任しているケースが多いでしょう。理由は明確で、ひとつは人を雇う資金が限られていること、もうひとつは専門知識が求められることです。
とはいえ、会社が成長していくためには「支える仕組み」が欠かせません。たとえば経理は、単なる数字の記録係ではありません。記録した数字から会社の現状を読み取り、将来の資金繰りや利益の見通しを示す“経営の羅針盤”なのです。
スタッフ機能が整っている会社ほど、経営判断のスピードと質が上がります。つまり、スタッフ部門は「コスト」ではなく「投資」なのです。
もし社内でスタッフを育てる余裕がない場合は、外部の専門家を活用するという方法があります。
税理士、社会保険労務士、経営コンサルタントなど、それぞれの分野のプロをパートナーとして迎え入れることで、社内に専門部署がなくても“支える力”を補うことができます。
ただし、成果を出すためには専門家とのコミュニケーションが有効です。定期的に~PDCA会議(計画→実行→確認→改善)~の場を設け、現状を共有し、改善策を一緒に考えることが大切です。専門家を「相談相手」から「経営チームの一員」にすることがポイントです。
社長一人で抱え込む経営には限界があります。
ラインを動かすだけでなく、それを支える仕組みを整えること――社長が現場のリーダーから未来の設計者に変わるとき、そこに、会社が次のステージへ進む鍵があります。
税理士 廣島 清量



