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インボイス制度導入後の中小企業の実態調査(要約) (2025年9月9日 日本商工会議所発表/回答企業:2,710社)

2023年10月から開始されたインボイス制度。制度開始から丸2年が経過しましたが、免税事業者との取引について、他社がどのように対応しているか気になっている経営者もいらっしゃるようで、いまでも質問を受けることがあります。そこで、今回は日本商工会議所が先月発表したインボイス制度導入後の実態調査の中から、いくつかご案内したいと思います。

  1. 登録状況について

制度導入前に免税事業者だった企業のうち、対企業取引中心の事業者は78.6%がインボイス登録済みの一方で、対個人取引中心の事業者では24.6%にとどまっています。この結果からも、免税事業者の多くが、「取引先の要請」という外部要因によって、登録せざるを得ない状況があったものと思われます。

  1. インボイス登録後の価格交渉の状況について

免税事業者からインボイス登録をしたことを契機に価格交渉を行った事業者のうち、76.9%が値上げを実現しています。逆に、価格交渉を行っていない事業者の主な理由としては、「販売先・受注先からの交渉の提案がなかった」が72.1%で最多となっており、他には「取引が見直される恐れがある」といった今後の取引継続に対する不安や、古くからの取引先との関係性を理由にあげています。

  1. 免税事業者との取引状況について

 インボイス登録事業者(本則課税事業者に限る)が免税事業者と取引を行うにあたって、現状でどのように対応しているかについては、回答企業の87.5%が取引価格を変更せず、消費税負担増加分を自社で負担していると回答しています。特例措置により、制度開始から3年間はインボイス未登録事業者との取引であっても8割の仕入れ税額控除の適用が受けられるため、現状では大半の企業が価格変更せずに従来通りの取引を行っていると推測できます。ただ、今後の対応方針についての回答の中で、42.3%の企業が取引価格や仕入先の見直しを検討していると回答しており、8割→5割→最終的には0と、3年置きに特例措置が縮小されていく事を考えた場合、今後は免税事業者でいつづける事のリスクが大きくなってくると予想されます。

 インボイス制度の導入によって取引条件が変化する中、多くの中小企業は「仕入先・販売先との関係維持」を優先していることが明らかになりました。実質的に制度対応コストを企業側が負担しているケースが多く、今後は価格交渉力の強化や支援策の活用が課題となると考えられます。

(齋藤 勝)

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