ふるさと納税制度は平成20年に創設され、徐々に認知度が高まり、利用者が増え(約1千万人)て、令和5年度の実績で初めて寄附額が1兆円(1兆1175億円)を超え、寄附額も年々増加している状況です。
総務省はこれまで、ふるさと納税制度の推進及び制度趣旨を踏まえた、過度な返礼品競争の是正のために何度か見直しを行ってきました。
主なものとしては
平成27年に控除上限の2倍化及びワンストップ特例制度の導入。
令和1年6月に返礼品を寄附額の3割以下の地場産品とし、基準を守らない自治体を対象から外すなどの措置の導入。(3割ルール)
令和5年には、返礼品の調達費用や送料及び仲介サイトへの手数料の支払いなどの経費を寄附額の5割以下とする基準の明確化。(5割ルール)
などがあります。
令和6年においては、以下のような見直しを行いました。【令和7年10月1日から適用】
●寄附に伴いポイント付与を行う者を通じた募集を禁止すること(募集適正基準の改正)
●「区域内での工程が製造等ではなく製品の企画立案等であるもの」や「区域内で提供される宿泊等の役務」について、当該地方団体で生じた付加価値や、地域との関連性をより重視した形で、基準を見直すこと。(地場産品基準の改正)
1つ目の募集適正基準の改正は、現在多くのふるさと納税の仲介サイトではサイトを利用してふるさと納税をした場合には最大〇〇%の還元や、他の買い物などで利用できるポイントやマイルの付与などが行われていてポイント付与に係る競争が加熱していることから、令和7年10月1日以後は金銭的価値のあるポイントや特典の付与が禁止されることになります。また、返礼品等を強調した寄附者を誘引するための宣伝広告も禁止されます。
上記5割基準について、ワンストップ特例事務や寄附金領収書の発行費用なども含め、ふるさと納税の募集だけでなく、ふるさと納税の募集を行ったことや寄附金を受領したことにより発生したと考えられる費用は、全て該当するものであること。と5割ルールが厳格化されています。
2つ目の地場産品基準の改正は、区域内での工程が製品の企画立案等であり、実際の製造地は区域外である場合について、製造者からその製品の価値の過半が区域内で生じていることの証明がなされている場合に限定されること、全国展開している宿泊施設や飲食店の利用券等、当該地方団体との関連性が希薄なものについて、1人1泊5万円を超える宿泊は、同一県内展開の宿泊施設に限る。などの見直しがされています。
9月までにふるさと納税をするほうが有利なのか、自身の所得が確定してからふるさと納税をするほうが良いのか。など、いつ、ふるさと納税をするのが良いか判断する必要があります。
(水田 裕之)