子供が生まれたので、子供名義の通帳を作って、そこに親のお金を貯めていってあげたい。といった話を聞く機会があります。それ、ちょっと待ってください。それは親の名義預金です。将来親に相続が開始したとき、その子供名義の預金も、親の財産となってしまいます。
今回は名義預金とみなされないためのポイントをお話しします。
名義預金とは、名義は他人だが実質的に本人(贈与者)の預金をいいます。
◆名義預金とされる典型例
・夫が妻や子の口座を作り、定期的に振り込みしているが、贈与契約書や意思確認がない。
・贈与された側がその資金を把握しておらず、使った形跡もない。
・通帳・印鑑などを贈与者(親など)が管理している。
・未成年の子の名義口座に親が資金を移しているだけ。
◆適正な贈与と認められるための条件
1. 贈与契約書の作成(書面化)
贈与の意思が双方にあることを示すため、毎年贈与契約書を作成し、署名・押印する。
2. 受贈者による管理・使用
通帳・印鑑・キャッシュカードを受贈者本人が保管・管理していること。本人が自由に引き出し・使用していることが重要です。
3. 定期的な口座確認と使用実績
受贈者が口座残高や入出金を把握しており、実際に生活費や学費等に使っている実績があると、贈与の実態が強く裏付けられます。
4. 年間110万円以下の贈与でも証拠を残す
暦年課税非課税枠内でも、「非課税=無申告でよい」ではなく、証拠がなければ名義預金と判断される可能性があります。
◆贈与税の申告で透明性を確保
・非課税枠を超える贈与は、必ず贈与税の申告を行いましょう。申告することで税務署に贈与の事実を明確に伝えることができます。
◆未成年者への贈与は特に注意
・通帳は本人名義。使用する印鑑も贈与者の物ではなく、受贈者本人のものを使用すること。
・受贈者に管理能力がないうちは、贈与は避けた方が良いでしょう。
※なお暦年贈与加算期間が相続開始以前、3年から7年へ段階的に延長となっています。
詳しくは担当者にお問い合わせください。
相続診断士 平林 明子