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バンコク視察雑感

2025年3月19日から23日までの3泊5日、日本M&A協会主催の「タイ国際会議2025」に参加した。今年は169事務所、278名が参加。なお、視察直後の3月28日には、ミャンマーを震源とする大きな地震が発生。有感地震としては、2004年のスマトラ沖地震以来とされる。

スワンナプーム国際空港からバンコク市内のホテルまでは、バスで約1時間。車窓に広がるのは、東南アジアNo.1の配車アプリ企業Grabの緑色の看板。アプリをダウンロードすれば、料金は事前確定制で、価格交渉やぼったくりの心配もなく、非常に便利とのこと。

バンコク市内に入ると、激しい交通渋滞と、無数のバイクに圧倒される。近代的な高層ビル群と、昭和中期を思わせる電線むき出しの老朽家屋が混在する街並みを歩くと、露店・屋台の焼き物と排気ガスが混ざり合い、大気汚染の深刻さを肌で感じる。

セミナーでは、アユタヤ銀行(三菱UFJ銀行の子会社)や日本M&Aセンターの現地駐在員より、タイ経済の動向に関する講演があった。その中から印象的だった点をいくつか紹介したい。

タイは、東南アジア諸国(ASEAN)の中で唯一植民地化を免れた国であり、外交においては、「13種類の微笑み(イム)」を使い分けるとされる。争いや交渉を穏便に収めてきた国民性が垣間見える。2025年1月時点の一人当たり名目GDPは7,750米ドルで、日本の1970年代と同水準。バンコク市内の在留邦人数は約6万人と世界第2位で、親日的な国としても知られている。食料自給率は100%超(日本は38%)、食料インフレリスクが少なく豊富なフルーツが美味しいのも特徴だ。一方で、40歳未満の人口が49%にとどまり、少子高齢化が進行中。失業率は1.1%(日本は2.4%)と極めて低いが、外国人マネージャーに叱られるとすぐ退職する傾向もあり、現地人によるマネジメントが有効とされる。

また、タイ人は日本人と同様、ゼロからイチを生み出すのがあまり得意ではなく、創造性よりも枠組みを好む傾向がある。特に男性は「食事の合間に仕事をする」と言われるほど働き方が緩やかで、真面目に働くのは女性の方が多いとのこと。

日本企業にとっては、既に現地にビジネスネットワークが構築されているため、それを活用できる点が大きな利点だ。賃金水準は、シンガポールを除けばASEAN内で最も高い。一方でGDPに対する家計債務比率は約90%と高く、借金体質も指摘されている。輸出はGDPの6割以上を占め、自動車部品とコンピュータ部品で3割を構成。輸出先の3割がアメリカであり、トランプ関税(2025年4月3日発表、36%)の影響を大きく受ける。EUとの貿易協定の早期実行が急がれる。タイの国民性を象徴する言葉に「マイペンライ(=大丈夫だよ。問題ない。なんとかなるよ)」がある。日常生活で頻繁に使われるこの言葉だが、マネジメントを担う立場にとっては、曖昧な対応が課題となることも多い。

視察の最後には、500以上の店舗が入る大型ショッピングモール「セントラルワールド」を訪れ、正面にあるガネーシャの祠に立ち寄り、顧問先様及び弊社の発展を祈願し、今回の視察を締めくくった。

税理士 久保 康高

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