江東区亀戸の税理士|ひろしま会計グループ

0120-58-2571営業時間:9:00~18:00(土日祝除く)

ひろしま会計グループ

民法改正に伴う遺留分制度の見直し~事業承継をお考えの方必見~

平成30年7月6日に、事業承継対策の実務において画期的な民法改正案及び遺言書保管法が衆議院本会議で成立し、13日に公布されました。

遺留分制度とは、遺贈や生前贈与により特定の者だけに財産が遺された場合でも、相続人のうち兄弟姉妹以外の法定相続人(遺留分権利者)に限って、特別に最低限の取り分(遺留分)の取戻しを認める制度です。

現行法上では相続人に対する生前贈与については「特別受益」として期間制限なしで遺留分の算定基礎財産に「相続時の時価」で持ち戻しされることになっています。今回の改正案では、持ち戻す期間を相続開始前の10年間に限定しており、それより前の贈与については遺留分から除外するという内容になっています。

例えば、事業承継で自社株を後継者である相続人に贈与した場合には、これまでは何十年も前の贈与であっても遺留分の対象となりましたが、改正後は遺留分の対象に含める必要はなくなります。

さらに、今回の改正案では「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができるものとする」と改められ、遺留分侵害額請求権を金銭債権化することにより、事業承継に不可欠な自社株や事業用財産自体は後継者に承継しやすくなりました。事業承継に必要な不動産などの事業用財産や権利について金銭のみで解決すればよいので無理に共有状態の解消を試みる必要はなくなったと言えます。

これまでは、後継者に自社株を集中して承継させようとしても、後継者が遺留分を侵害された他の相続人から遺留分に相当する財産の返還を求められるということがありました。そのため自社株が分散してしまうという将来の減殺請求のリスクを考慮して、自社株の承継方法として贈与ではなく、譲渡(売買)を選択するケースも多くありました。

贈与者は揉めないために後継者を指名する内容の遺言(特定財産承継遺言)をしておく方がベターです。その指名された後継者(受遺者又は受贈者)へ計画的に自社株の生前贈与を実施することにより、財産権の面でのスムーズな事業承継が可能となりました。また金銭にて解決すると明示されたことにより相続人同士の揉め事は減ると予想されます。自社株の株価を意図的に下落させて後継者に贈与もしくは譲渡する方法も考えられますが、時価に比べて不当に低廉な価額で譲渡した場合は、負担(他の相続人へ与えた侵害)付贈与とされ、負担の価額を控除して金銭にて精算することとなります。

この改正法は原則として改正法の公布日(7月13日)から1年以内の政令で定める日から施行されることとされており、遅くとも2019年7月12日までに施行される予定です。

事業承継は、経営権や財産権の承継だけでなく、後継者の能力が経営するに相応しいのかどうか検討した上で、文字通り事業の承継や経営スキルの承継が大切になってきます。スムーズな事業承継をご希望の方は弊社担当者までご相談ください。

税理士 久保 康高

初回相談無料 メールでのご相談お申込みはこちら

無料相談受付中