ローカルベンチマークは、昨年経済産業省が作成した簡易企業診断表のようなもので、　　経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール（道具）として企業の経営者等や支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入り口」として活用されることが期待されるものです。

ローカルベンチマークは単なる分析のツールではなく、企業の経営者等と支援機関等が対話を通じて現状や課題を理解し、個々の企業の経営改善に向けた取組を促すための手段となる評価手法・評価指標です。

具体的には「参考ツール」を活用して、「財務情報（6つの指標）」と「非財務情報（4つの視点）」に関する各データを入力することにより、企業の経営状態を把握することで経営状態の変化に早めに気づき、早期の対話や支援につなげていくものです。

～財務情報6つの指標～

1）売上高増加率（売上持続性）

2）営業利益率（収益性）

3）労働生産性（生産性）

4）EBITDA有利子負債倍率（健全性）

5）営業運転資本回転期間（効率性）

6）自己資本比率（安全性）

～非財務情報４つの視点～

1）経営者への着目（経営者のビジョン、経営理念、後継者の有無など）

2）関係者への着目（顧客リピート率、主力取引先企業の推移など）

3）事業への着目（企業の沿革、ビジネスモデルなど）

4）内部管理体制への着目（同族企業か否か、組織体制、社内会議の実施状況など）

また、ローカルベンチマークは「対話」のための手段であり、企業経営者が支援機関等との対話に向けた準備をし、自らをふりかえり、経営を改善することで付加価値と雇用を生み出すことこそが最も重要な利用目的です。

経営者自身が課題に気づき、緊張感を持って経営改善に向けた目標の設定や共有、「PDCAサイクル」を機能させるための出発点とすることが期待されています。

　あくまでも入り口部分の資料としてのものですが、企業にとっては資金調達なども含め自社を知る自己分析のツールとして活用してみてはいかがでしょうか。

（水田　裕之）