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富裕層に対する課税の強化とその背景

パナマ文書によって世界の富裕層によるタックスヘイブン(租税回避地)を利用した課税逃れの概要が明らかになり話題になった。無税あるいは税負担の軽い国に資産等を移転し、そこで売却等をすれば税金を少なくできる。シンガポールは2008年にキャピタルゲイン課税を廃止して以来海外からの富裕層の移住が年々増加している。

 

このような背景の中、税務当局が富裕層への監視を強めていることは明らかで、次のように近年の税制改正をみてもそのことが分かる。

 

1)出国税

わが国では2015年の税制改正で「国外転出時課税」が創設された。通称、「出国税」と呼ばれている。「株式などの金融資産」を1億円以上所有している人を対象に、海外に住所を移して出国する際、あるいは海外の親族などに財産を相続・贈与する際に、その段階で金融資産が売却されたとみなして含み益に譲渡所得税をかけるというものである。

 

2)「財産債務調書」の提出義務

また、2015年の税制改正では「財産債務調書」提出制度が創設された。その年分の所得が2千万円を超え、かつ、その年の12月31日において合計3億円以上の財産または1億円以上の「株式などの金融資産」を有する人は「財産債務調書」の提出が義務づけられた。

 

3)「国外財産調書」の提出義務

「国外財産調書」制度は2014年3月15日期日分から適用が開始されている。居住者でその年の12月31日おいて、5千万円を超える国外財産を所有する人は「国外財産調書」を提出する義務がある。

「国外財産調書」に必要な国外財産に関する記載がないと、その国外財産に関する所得税や相続税の申告漏れがあった場合には、過少申告加算税等に5%の加重措置が行われる。必要事項の記載があれば逆に5%の軽減措置が受けられる。

また、正当な理由がなく期限内に「国外財産調書」を提出しないと、申告漏れがない場合でも1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることがある。

 

富裕層とは、一般的に金融資産1億円以上、所得で見ると所帯年収3千万円以上と言われている。また、金融資産5億円以上は超富裕層と定義されている。ちなみに世界的金融機関のクレディ・スイスの2015年度のレポートによれば資産総額100万ドル超の富裕層の数では、1位米国1565万人、2位英国236万人、3位日本212万人であった。

(廣島 清量)

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