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中小企業金融円滑化法の失効にどう備えるか?

東京商工リサーチによると、平成241月~7月の中小企業金融円滑化法による返済条件変更後の企業の倒産件数は前年同期から83.8%増の125件(前年同期68件)と急増しています。当初より「単なる延命措置に終わるのではないか」という点が憂慮されていましたが、その懸念が一部現実のものとなってきました。

同法はリーマンショック後の世界的な金融危機の影響により中小企業の景況・資金繰りが大幅に悪化したことを受け、平成21124日に施行されたもので、融資先である中小企業の経営が厳しく、返済に窮しているような相談を受けた場合に、金融機関に対して見直しに応じる努力義務を課した法律です。施行以降、期限の延長・再延長が行われ、平成253月には最終期限が到来し、同法は失効する予定です(平成24420日に「中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策パッケージ」が公表され、内閣府・金融庁・中小企業庁の三者連名で再延長しない合意がなされています)。

◆金融機関の対応

 同法の特徴は、「返済期限の延長などの貸付条件の変更(リスケ)を行っても、金融機関内部の査定上、不良債権とはみなさない」というものです。これが平成254月以降は不良債権としてみなされ、処分の対象となってしまいます。返済を止めている、もしくは今後返済を止めてもらおうと考えている企業で、返済再開の目途が立てられないような場合には、同法の失効を境に不良債権処理をされてしまうリスクが高くなると考えられます。不良債権処理は、多くの場合サービサーと呼ばれる債権回収会社に貸出債権を売却したり、担保を付けている不動産を競売に掛けたりして、1円でも多くの貸付金を回収した上で、貸倒処理(損切)をするというのが一般的です。既にメガバンクでは、企業仕分け(引き続き支援していく先とそうではなく不良債権処理する先との選別)が始まっています。いずれ地方銀行や信用金庫・組合においても、何らかの対応(経営者の意欲と事業の継続可能性を確認するために実効性のある抜本的な経営改善計画書の提出等)をしてくると思われます。今後、経営者の意欲がない場合は、金融機関側からのM&Aの提案も十分にあり得ます。

◆中小企業の対応

上記倒産125件を産業別で見ると、建設業が全体の約3割となる37件で、次に製造業の34件、卸売業の19件、サービス業他16件、小売業9件と続いています。このことからこれらの業種を得意先に持っている場合には、与信管理を注視していく必要があります。また、不測の事態に備えて、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入するのも一つの方法です。

 日本の企業数はおよそ420万社あり、99.7%が中小企業で占められています。同法を利用したのは40万社程度で現在も30万社が利用中とみられます。同法を利用している中小企業は約1割ということであり、残りの約9割は未利用ということではありますが、隠れ不良債権予備軍が存在している可能性もあり、失効の影響は未知数です。(久保 康高)

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